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潜水艦

特徴

隠密性

潜水艦の最大の特徴は隠密性である。このため、水上戦闘艦に比べ敵哨戒網の突破や、敵制海権下での活動が容易である。この特性を生かして、偵察、通商破壊、機雷敷設、核ミサイル運用などに使用される。

高速性

潜航中は造波抵抗が無いので、同じ出力なら水上艦より高速が出せる(ただし、高速航行時には静粛性が大幅に低下する)。

潜水艦の歴史

1620年

オランダ人コルネリウス・ドレベルがイギリス海軍向けに発明した潜水艇。櫂による人力推進。実戦投入はされなかった。

1776年

デヴィッド・ブッシュネルが開発したタートル潜水艇が登場。実際に建造され実戦投入された最初の潜水艇。本艦は卵形船体で乗員数は一人、人力駆動の螺旋型推進装置を装備しており、アメリカ独立戦争時に米国が使用したが、敵艦艇撃沈には至らなかった。

1864年

アメリカ南北戦争で、南軍が人力推進型のハンリー潜水艇を投入。1864年に、サウスカロライナ州チャールストン港外で、同港を封鎖中の北軍木造蒸気帆船フーサトニックを外装水雷により撃沈。史上初となる潜水艇による敵艦撃沈記録であった。
なお、当時は潜水艇は敵味方双方から卑怯な兵器と看做されていた。潜水艇デイヴィッドに襲撃された装甲艦ニューアイアンサイズの艦長は、同艦を襲撃時に捕虜になったデイヴィット艇長を「文明国で認められていない兵器を用いた罪で」裁判にかけて絞首刑にすると脅した。

1867年

カタロニア人ナルシス・ムントリオルがスペイン海軍の援助を受けて、潜水艦「イクティネオII」を非大気依存推進させることに成功した。

1900年

近代潜水艦の父と呼ばれた造船技師、ジョン・フィリップ・ホランドによって設計された潜水艦ホーランド号(水中排水量74t)が登場した。ホーランド号は主機のガソリンエンジンと電動機の直結方式であり、内燃機関によって推進する近代潜水艦の元祖であった。

第一次大戦期

ホーランドの就役以降、世界各国で潜水艦が注目されるようになり、列強海軍は挙って潜水艦の建造に着手した。初期の潜水艦はガソリンエンジンが主流であったが、まもなくディーゼルエンジンに代替された。当時の潜水艦は、排水量100-1000t、水上速力10kt、最大潜航深度100m程度であった。
潜水艦の本格的活躍は第一次世界大戦からとなる。逸早く潜水艦を有効利用したのはドイツ帝国であった。Uボートと呼ばれたドイツ潜水艦は、開戦直後の1914年9月、独海軍潜水艦が英巡洋艦4隻を撃沈したのを始め、次々と英国軍艦・貨客船を撃沈し、通商破壊に活躍した。
英国の商船隊は大打撃を受け、英国経済を瀕死に追い込んだ。しかし1915年7月、ルシタニア号撃沈により米国人多数が巻き添えとなる事件が発生した。これにより、当時の中立国であった米国の参戦を恐れたドイツ帝国は、1915年9月以降は英国船舶への攻撃に消極的になり、その戦果は減少した。
その後、ドイツ帝国は戦局挽回のため1917年に無制限潜水艦戦を再開し、独海軍潜水艦隊は一時的に大戦果を上げた。しかし、英国が護送船団を採用すると、戦果は激減した。さらには英商船への無差別攻撃は米国の参戦を招き、第一次大戦敗北の一因となった。
第一次大戦では、ドイツ帝国海軍は381隻の潜水艦を就役させ、その内の178隻を喪失したが、終戦までに約5,300隻・1,300万トンに及ぶ艦船を撃沈する戦果を上げ、大西洋の狼・Uボートは世界にその名を轟かせたのであった。

大戦間期 - 第二次大戦期

Uボートの活躍により、潜水艦の有効性が立証され、各国は本格的な潜水艦隊運用に乗り出した。自国の商船部隊を壊滅寸前にまで追い込まれた英国は、ヴェルサイユ条約でドイツに対し潜水艦保有を禁止させ、 また新型の対潜兵器の開発などに注力しようとしたが、財政難による軍事費削減の影響で、対潜作戦の技術は停滞していた。

大日本帝国

大日本帝国海軍は潜水艦を艦隊決戦における敵艦隊攻撃用に投入することを意図し、海大型潜水艦と巡洋潜水艦の二系列を中心に建造した。巡洋潜水艦は水上機を搭載したのが特徴で、航続力と索敵力に優れた偵察型であった。対して海大型は、水上速力と雷撃力に優れた攻撃型であった。
しかし太平洋戦争では、開戦前に想定されていた艦隊決戦は起こらず、目立った活躍はなかった。インド洋での通商破壊や、南方への輸送任務などに投入されたが、米海軍艦艇の優秀な対潜兵器の前に多くが撃沈されていった。

ドイツ

ヴェルサイユ条約により潜水艦保有を禁じられたドイツであったが、1935年の再軍備以後は建造を再開する。第二次世界大戦開始時、ドイツ海軍は再建途中であった。そのため、完成に時間が掛かる水上戦闘艦艇の建造を後回しにして潜水艦量産に注力し、Uボート部隊は前大戦同様に対英通商破壊に投入された。WW2でのUボートの主力は、UボートVII型とUボートIX型である。
当初は英国貨客船を多数撃沈したが、後に連合軍が新型対潜兵器や護衛艦・哨戒機を多数投入するようになると、逆にUボート側が多数撃沈されるようになった。
これに対し、独側もUボートの性能向上を図り、シュノーケルやヴァルター機関などの新技術の開発や、奇跡のUボートと呼ばれたUボートXXI型を大戦末期に投入したが、戦況挽回には至らなかった。

アメリカ合衆国

米海軍もドイツ同様、潜水艦を対日通商破壊に投入した。米潜水艦は高性能なレーダーやソナーなどにより、電子兵装の劣る日本艦船を次々と撃沈していった。米潜水艦の活躍により日本商船隊は壊滅させられ、対日戦勝利に大きく貢献した。

第二次大戦以後

1955年に完成した米海軍のノーチラス号(水上排水量3180t)は、原子炉と蒸気タービンを採用した、史上初の原子力潜水艦であった。本艦は水中速力20ノット、潜航可能時間は3ヶ月間前後であった。原子力主機登場により、潜水艦の水中速力と水中航続力は大きく増大した。それにより、潜水艦の戦闘能力は飛躍的な向上を遂げた。
原子力潜水艦が大型水上艦艇を撃沈した例は、1982年のフォークランド紛争時に、イギリス海軍のコンカラーがアルゼンチン海軍の巡洋艦ヘネラル・ベルグラーノを雷撃にて撃沈した事例が最初である。コンカラーはヘネラル・ベルグラーノを24時間以上追跡したが、全く探知されなかった。この戦いにより、それまで水上艦に対し圧倒的に不利と思われていた原潜の有効性が証明された。

運用上の分類

攻撃型潜水艦

魚雷や機雷などを主兵装とし、敵の水上艦艇や潜水艦などの攻撃を任務とする潜水艦である。略称は、米英海軍および海上自衛隊ではSSと呼ばれる。原子力推進式のものは、核動力(Nuclear)を表すNを付けてSSNになる。
かつての潜水艦は、水上艦艇に比べ最高速力や防御力、電子装備、水中航続距離などの基本的能力が劣り、巡洋艦や駆逐艦とまともに戦闘するのは分が悪かった。このため、主に待ち伏せ攻撃、港湾での情報収集、特殊部隊投入、物資輸送、通商破壊などの対貨客船任務、などの任務に投入された。しかし第二次大戦以降、魚雷やソナー、各種電子機器、通信装置の性能向上、さらに原子力機関の登場により画期的に性能が向上し、現在では強力な戦闘力を持つ最強の軍艦として、かつての戦艦に匹敵する地位を獲得した。
攻撃型潜水艦は敵水上艦船だけでなく敵潜水艦も攻撃目標とするようになった。隠密性の高い潜水艦を探知し攻撃するのはやはり潜水艦が有利だからである。そこで敵の戦略ミサイル潜水艦を攻撃する任務や、自国の艦隊を敵の攻撃型潜水艦から護衛する任務を与えられている。
また、冷戦終結後はソ連海軍の脅威が低くなったため、米海軍の攻撃型原子力潜水艦は戦略ミサイル原子力潜水艦の任務に多様化と同様に、従来の潜水艦の攻撃及び護衛の任務に加えて、巡航ミサイルを用いての対地攻撃や、敵対国の沿岸に侵入しての偵察と情報収集活動や、特殊部隊の投入と回収の任務などを行なうようになった。
映画・シミュレーションゲームでは潜水艦同士の戦闘がよく描かれるが、ホーミング魚雷の実用化以前の潜水艦同士の戦闘は、お互いに水中を三次元的に移動するので攻撃は困難であり、また現代では潜水艦を保有する国同士の本格的な戦闘例が少ないため実現されていない。数少ない例としては、1945年2月に、ノルウェーのベルゲン沖で英潜水艦ヴェンチャラーが、潜望鏡深度を航行中の独潜水艦U-864をソナーで探知、数度シュノーケルを潜望鏡で目視したのちソナーで追撃し雷撃撃沈した例がある。しかし、実質水上艦艇に対する雷撃と変らないため、潜行中の潜水艦同士の戦闘とは言いがたい。

沿岸型潜水艦

攻撃型潜水艦または敷設型潜水艦の一種。哨戒型潜水艦とも呼ばれる。小型で航続力に乏しく、自国周辺海域での哨戒任務に使用される。第二次大戦時までは、排水量数百トンから千トン未満の中型・小型潜水艦が沿岸型潜水艦に分類される。
対潜兵器の進化した現代、外洋で作戦行動できうるのは浅航行を必要としない原子力潜水艦のみとなった。(仮に通常の潜水艦が外洋で作戦行動をしても容易に位置を察知され「無力化」される)そのため、基本的に通常動力型潜水艦は自国近海での哨戒任務にしか使用できないため、大抵は沿岸哨戒型潜水艦に分類されると言えよう。

巡洋型潜水艦

攻撃型潜水艦または敷設型潜水艦の一種。大型で航続力・居住性などに優れ、遠方の外洋に進出して長期間の行動が可能。敵制海権下での哨戒任務や、敵港湾基地に侵入しての偵察任務、外洋での通商破壊などに使用される。沿岸型潜水艦よりは外洋行動能力があるが、巡洋型潜水艦ほどの遠洋進出能力を持たないものは航洋型潜水艦(英: ocean-going submarine)などと呼ばれる。
第一次大戦から第二次大戦時までに登場した、排水量千トンから二千トン級のものが巡洋型潜水艦に分類された。運用者は主に外洋海軍であり、全世界に殖民地を抱える英海軍や、広大な太平洋を作戦海域とする日米海軍などが数多く保有した。

艦隊型潜水艦

攻撃型潜水艦の一種。艦隊決戦での運用を想定した潜水艦。味方水上艦に追随し、戦闘時は敵水上艦・潜水艦に対する攻撃を担当する。貨客船に比べ高速の軍艦と連携するために、水上航行時の高速性能が要求される。
その性質上、運用した国家は大規模な水上艦隊を保有する海軍大国に限られる。明確に艦隊潜水艦として建造されたものは、日本海軍の海大型潜水艦や、米海軍のAA-1級潜水艦など。しかし、当時の技術では満足な性能の艦隊潜水艦を建造することは不可能であり、まもなく艦隊潜水艦は絶滅した。
しかし原子力機関の実用化により、水上艦隊と同一行動が取れる高速潜水艦が登場し、かつての艦隊潜水艦構想が実現した。一般的に、それらは攻撃型原潜と呼ばれることが多いが、現在でも英海軍のみは艦隊潜水艦の分類を使用し続けている。

機雷敷設型潜水艦

敵制海権下での機雷敷設を任務とする。通常の機雷敷設艦に比べ、潜水艦での機雷敷設は安全であった。現在では機雷の小型化などにより、機雷敷設専用に設計された艦艇でなくとも、機雷の搭載・敷設が可能であるため、特に機雷敷設型潜水艦という分類は見られなくなった。

輸送型潜水艦

物資や兵員の運用に使用される潜水艦。潜水艦は水上艦艇や航空機に比べ、敵の哨戒網や監視網の突破が容易なので、敵勢力下での物資運搬や、特殊部隊揚陸には適役である。第二次大戦期の日本海軍潜水艦は輸送任務に投入されることが多かったが、これらの潜水艦は本来は敵艦船攻撃用に設計されたので、搭載力が低く、輸送力に限界があった。
当初から物資運搬を想定して建造された最初の輸送型潜水艦は、第一次大戦期のU151型Uボートである。当初の建造目的は、英海軍の海上封鎖網を突破して、米独間の輸送任務を行うことであった。日本海軍も、太平洋戦争末期に潜輸大型などの輸送専用潜水艦を建造した。
しかし基本的に、潜水艦での輸送任務は非常に効率が悪いので、今日では特殊部隊投入などの特殊任務を除けば、輸送に潜水艦が使用されることは無い。

補給型潜水艦

友軍艦艇に燃料弾薬食料などの補給を行う。敵制海権下で行動する潜水艦への補給任務用に建造された。代表的なのは、XIV型Uボートや潜補型潜水艦など。

モニター潜水艦

巨大な主砲を搭載した潜水型モニター艦である。英海軍のM級潜水艦や、仏海軍のスルクフなどが代表的である。運用概念としては、敵基地近海に密かに接近し、奇襲的に浮上して砲撃を行う、というものであった。しかし、潜水艦に搭載可能な大きさの主砲では、艦砲射撃に使用するには威力不足であり、この構想は失敗であった。
他に、通商破壊任務も想定されていた。貨客船ごときに高価な魚雷を使うのは勿体無いので、代わりに主砲で攻撃しようという考えである。しかし、浮上時の潜水艦は非常に脆弱であり、たとえ貨客船相手でも戦いを挑むのは危険であったため、この構想は失敗であった。

潜水空母

多数の水上機を搭載可能な潜水艦である。日本海軍の伊四〇〇型潜水艦(潜特型)が唯一の存在である。第三帝国海軍のUボートXI型など計画されたが、実際に完成させたのは日本海軍のみである(伊四〇〇型潜水艦 - 3機搭載、伊一三型潜水艦 - 2機搭載)。局地への奇襲用に、魚雷/800kg爆弾という通常の艦爆・艦攻と同等の攻撃能力を持たせた特殊攻撃機を運用する点でも他国とは一線を画す(フロートを投棄すれば一線級の艦上機並の性能を発揮できた点でも特異である)。
通常の航空母艦と同様に、飛行甲板から艦載機を発進可能な、真の意味での潜水空母は実在したことは無い。しかし、架空戦記や戦争ゲームなどではしばしば見られる。鋼鉄の咆哮シリーズの超巨大潜水空母ドレッドノートや、エースコンバットシリーズのシンファクシ級潜水空母などである。

巡航ミサイル潜水艦

多数の巡航ミサイルを発射する潜水艦。主に冷戦期にソ連海軍が運用した。ソ連海軍の巡航ミサイル潜水艦は、敵艦隊攻撃用に建造されたもので、大型で大威力の艦対艦巡航ミサイルを搭載していた。
米海軍も潜水艦で巡航ミサイルを運用することを意図し、トマホーク巡航ミサイルを開発した。トマホークは小型であり、魚雷発射管からも発射可能であったため、米海軍は特に巡航ミサイル専用の潜水艦は建造しなかった。が、冷戦終結後になって、巡航ミサイルによる対地攻撃用に改オハイオ級原潜が出現した。
改オハイオ級は、モニター潜水艦や潜水空母ではアイデア倒れに終わった構想を実現させた存在と言える。改オハイオ級は実に154発ものトマホークを搭載可能であるため、強力な対地攻撃能力を期待されている。

弾道ミサイル潜水艦

核弾頭を備えた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載し、敵国への核攻撃力保持を目的とする潜水艦である。戦略ミサイル原子力潜水艦とも呼ぶ。英語での略称は「SSB」および原子力推進の「SSBN」。米俗語で「Boomer(ブーマー)」と呼ばれる。
所在の秘匿には、長期間の潜航が有効のため、現在では全て原子力推進のものとなっている。ソ連海軍の629型潜水艦(ゴルフ型)など、初期の弾道ミサイル潜水艦にはディーゼル推進のものも存在した。
冷戦初期は弾道ミサイルの射程が短かったので、弾道ミサイル潜水艦は敵国近海まで進出していた。弾道ミサイルの射程が向上した後であっても、陸上基地に比べ、秘匿性が高く攻撃を受けにくいため、弾道ミサイル潜水艦は運用が続けられている。また、初期のSLBMには発射時に浮上する必要のあるものがあったが、これも水中発射が可能なように改良されている。
長期間水中に没し続け、容易に所在を変更できるSSBNは、その所在の確認や探知が困難である。その運用においても、静粛性を保ち、被探知を避けるような行動が求められている。その隠密性により、他の核戦力より生存性が高く、他の基地が先制攻撃で壊滅した場合であっても、戦力を保っている可能性が高い。そのため、報復もしくは第二撃核攻撃に用いることが想定されている。

レーダーピケット潜水艦

強力な対空レーダーを搭載し、早期警戒任務を行う。セイルフィッシュ級潜水艦などが存在したが、早期警戒機の登場により早々と価値を失い、絶滅した。

特殊潜航艇

排水量数十トン、乗員数名程度の超小型潜水艦。兵装搭載力や航続力が小さく外洋航行力には欠けるものの、小型のため探知され難く、特に水深が浅く障害物の多い海域では探知・攻撃される可能性が低い。そのため、沿岸警備や待ち伏せ攻撃に使用される。第二次大戦時には真珠湾攻撃に使用された日本海軍の甲標的や、戦艦ティルピッツ攻撃に使用された英海軍のX級潜航艇などを始めとして各国で特殊潜航艇が製造された。
現代でもその利点を生かして、敵の支配水域に侵入して情報収集に当ったり、スパイを送り込んだり、捕えた敵を海岸付近で収容して誘拐したりすることに用いられる場合もある。平時にも特殊潜航艇は領海に不法侵入して活動を行うので、冷戦期のソ連特殊潜航艇は西側諸国にとって厄介な敵であった。特にソ連、ユーゴスラビアでの開発が著しく、北朝鮮はユーゴスラビアから技術を移入して潜航艇建造に努めてきた経緯がある。一方で、イタリアにおいても一部企業が特殊作戦用の潜航艇を建造しており、同海軍は採用していないものの、ユーゴスラビアや中近東諸国、コロンビアなどに輸出された実績がある。
1996年の韓国の江陵浸透事件では、北朝鮮工作員がサンオ級潜航艇による韓国国内侵入に成功しており、侵入作戦用器材としての潜航艇の有用性を証明している。

構造上の分類

魚体型

プロテクター号やホランド号など、黎明期の潜水艦に見られた。魚体型は水中抵抗が少ない船体形状であり、後の涙滴型や葉巻型の先駆けというべき形状であった。もっとも、その効果を意図的に狙ったというよりは、単に魚の外見を真似て造形されたために出来上がった形状であった。

水上船型

第一次大戦〜第二次大戦頃の潜水艦に見られる形状。当時の潜水艦は潜航時間より浮上時間の方が圧倒的に長かったので、水上戦闘艦と同様に水上抵抗が少ない水上船型形状を採用していた。
第二次大戦後は次第に涙滴型や葉巻型に代替されていったが、水上航行時には利点が大きいので、通常動力型潜水艦の一部には未だに水上船型船体のものも存在する。

涙滴型

水滴型とも呼ばれる。水中抵抗が少ない形状である。高性能な蓄電池や原子力機関の登場で、潜水艦の水中行動能力が増加したために採用されるようになった。史上初の涙滴型潜水艦は、1950年代に米海軍が就役させた実験潜水艦アルバコアである。ただし、涙滴型は抵抗が少ないが船体空間容量が乏しいため、改良型である葉巻型が登場した。

葉巻型

魚雷型などとも呼ばれる。涙滴型の船体中央部を延伸することで、船体容積の増加を図った形状。第二次大戦後から現代に至る潜水艦の大半はこの形状である。
葉巻型の亜流に鯨体型がある。鯨体型船体は船体下部のみを船型とした形状であり、葉巻型に比べ水上航行に適している。

耐圧殻

潜水艦は潜航時には水圧が加わるので、船体は水圧に潰されない強度が必要である。船体の耐圧部分は耐圧殻と呼ばれる。耐圧殻の配置形式には大別して単殻式と複殻式がある。

単殻式
船体は耐圧構造船殻一層のみで、その内部に居住区画・機関・海水タンク・燃料タンクなどを収容している。。つまり、船体自身が耐圧殻と言える。構造が単純であり、船体の小型化が可能であるが、海水槽を船体内部に搭載する必要があり、船体容量が少なくなる。
サドルタンク式
基本的に単殻式と同一であるが、船体外部側面にバルジを設置して、バルジ内部空間を燃料タンクとして利用したもの。第二次大戦期の潜水艦で多く採用された。バルジに加わる水圧は燃料を媒介して、内殻に伝わるため、バルジは非耐圧でも問題ない。ただし、燃料消費後はバルジ内部が空になり、そのままだと水圧で潰されてしまうので、代わりに海水を注入する。
複殻式
非耐圧構造の外殻と耐圧構造の内殻の二層からなる二重構造船体であり、ちょうど魔法瓶の様に出来ている。外殻と内殻の空間は燃料タンクまたは海水タンクとして利用し、内殻内部に居住区画その他を収容する。
外部の海水から掛かる水圧は外殻には掛からず、外殻と内殻の間にある海水または燃料を媒介して、内殻に伝わる。そのため、外殻は非耐圧でも問題ない。複殻式の特徴は、以下の通り。
外殻と内殻の間を、燃料や海水を入れる空間に利用可能である。そのため、航続力や予備浮力を増加できる。
外殻と内殻が離れているため、外部に漏れる騒音を減らす事ができる。また、外殻が中空装甲として機能するので、被弾時に外殻や間の海水・燃料が爆圧を吸収するので、内殻への衝撃が少なくなり、被害を減少できる。そのため、生存性向上に寄与する。
半殻式
部分複殻式とも呼ばれる。船体に単殻式部分と複殻式部分を混在させており、両者の中間的形態。
複眼式
外殻内部に2本の内殻がある構造。伊四〇〇型潜水艦やタイフーン型原潜など、大型の戦略級潜水艦に見られる。

船殻材

船殻材(船体構造材)には、深海での水圧に耐えられる高強度の素材が必要とされる。潜水艦の船殻には主に高張力鋼が用いられている。ソ連のアルファ型原潜など、チタン合金を採用したものもある。チタン合金は高張力鋼より磁性が低く、磁気探知機による被捕捉率が低い。また、同じ重量の高張力鋼より強度も高い、などの利点がある。しかし、加工が困難で、音波の反射性が高いこと、高張力鋼より材料費が高い、などの理由から一般化していない。

潜水機構

潜水艦は浮上時は、船体排水量が浮力より小さいので、水上に浮いている。潜りたい時は、艦内の海水槽に海水を注入し、船体排水量を浮力より大きくする事で沈降する。海水槽にはメインバラストタンク(メインタンク、バラストタンクなどと略)、ネガティブタンク、トリムタンクがある。メインタンクは海水または空気を注入する船体浮力調整用タンクで、ネガティブタンクはメインタンクの補助用の浮力微調整用小型タンクである。トリムタンクはトリム(艦の前後の傾き)調整用であり、船体前後に二箇所設置されており、船体前後の浮力比を操作する。
潜水艦は潜航する場合、先ずベント弁(メインタンク内部空気排出弁)を開く。すると、フラッドホール(メインタンク下部の海水注入用の穴)から海水が入り、船体浮力が低下して艦は沈下を開始する。その後、トリムタンクや舵を操作して艦首を下げ、目標深度へ到達する。目標深度到達後は、トリムを調節して水平状態を保てるようにする。浮上時には、艦内の圧縮空気タンクからメインタンクへの空気を注入する。と、同時にタンク内から海水が排出されて船体浮力が増し、艦は浮き始める。この操作はメインタンク・ブローと呼ばれる。
なお潜水艦の最大潜航深度は重要な軍事機密であり、観艦式などでは、外部の人間に深度計を見られないように、貼り紙などで隠してしまう。よって公表潜航深度は参考程度の価値しかないが、それらによると、攻撃型潜水艦の潜航深度は300〜600m程度、戦略ミサイル原潜が100〜500m程度である。 武装した潜水艦の潜航深度記録は、1985年にチタン合金船殻のソ連原潜K-278が記録した1,027mで、K-278はこの深度で魚雷発射が可能であったと言われている。当時この深度の潜水艦を探知・攻撃する能力はどの国にも無かった。なお、軍事以外の潜水艇の深度世界記録は、1960年に深海調査艇トリエステ2号が出した深度10,916mである。

・操舵系統

潜水艦は水上艦と違い、トリムバランス以外にも水中での三次元立体運動を行う必要があるため、縦舵の他に横舵と潜舵を装備している。 潜舵は従来、艦首部に配置されていたが、艦首部はソナーなどの音響装置の空間になったために、騒音軽減のため艦橋側面に装着するのが主流となった。この方式はセイル・プレーン方式と呼ばれる。一方、ソ連・ロシア海軍は、艦首部に装着していた(バウ・プレーン方式)。これは、同国潜水艦は北極海での行動が多いためである。北極海において浮上する場合、海氷を艦橋上部で破砕する必要があり、その際に艦橋に潜舵があると損壊する危険が有るためである。他に、バウ・プレーン方式は潜舵の反応性が良好という利点がある(ただし艦首部ソナーへの雑音は増える)。
また、艦尾の操舵部分は十字型が多かったが、近年は「事故による損傷からのフェイルセーフ」と「水中での操舵性向上」のためX型の操舵翼が増えてきている÷

推進装置

潜水艦の推進装置には、スクリュー・プロペラが使用される。潜水艦では特に、キャビテーションが大きな問題となる。キャビテーションはプロペラの腐食、振動、推進効率低下などを齎すが、潜水艦では特に騒音の発生が問題となる。
キャビテーション低減のため、ハイスキュード・プロペラと呼ばれる三日月型櫂を持つプロペラが開発された。このプロペラの加工には高度な製造技術が必要であり、形状から性能も推し量れるため、各国とも最新鋭潜水艦の進水式ではプロペラ部を隠して進水させている。また、プロペラ加工装置を巡って、東芝COCOM違反事件のような日米外交問題もかつては発生した。
キャビテーションを抑制するため、シュラウドリング(円環)を装備したポンプジェット推進方式(ダクト付きプロペラ方式)もある。これは深海域では海水圧に噴流能力が勝てず、推進効率も著しく低下する(一般プロペラの推進効率65%に対して僅か45%程度)が、出力に余裕がある原子力潜水艦では使われる場合もある。なお、ソ連・ロシアの潜水艦は北極海での行動が多かったので、ポンプジェット推進以外でも、単に海氷からプロペラを保護する目的でシュラウドリングを装備したものもある。
究極的には、良導体である海水に磁界を掛けて推進する超伝導電磁推進に勝る物はないが、その強力な発生磁界により隠密性が損なわれるのと、核動力AIP以外では超電導磁石への供給電力を賄えないため、今後も実戦配備される可能性は乏しいと思われる。

動力による分類

ディーゼル機関

潜水艦の最も一般的な動力はディーゼルエンジンであり、通常動力型潜水艦の大半はディーゼル潜水艦である。潜航時は吸気が不可能なので、電動機を使用する。潜水艦は、登場以来長らくディーゼル機関と電動機を併用していた。
ディーゼル潜水艦の動力方式には直結方式とディーゼル・エレクトリック方式がある。直結方式はディーゼル機関、電動機(発電機兼用)、プロペラを直結したもので、水上航行時にはディーゼル機関を、水中航行時は電動機で航行する。ディーゼル・エレクトリック方式は、水上航行時はディーゼル機関で発電機を回してその電力で電動機を動かし、水中航行時は蓄電池の電力で電動機を動かす。前者は水上航行時に高速が出せるが充電効率が低かった。そのため、潜水艦の水中航行が主流となった第二次大戦以後は、充電効率に優れる後者が主流となった。

蒸気機関

ディーゼルエンジンの代わりに石炭ボイラーと蒸気タービンを搭載した蒸気潜水艦も、かつては造られた。英海軍のK級潜水艦やソードフィッシュなどである。蒸気機関はディーゼル機関よりも高速が出せたが、煙突の収納や機関の始動に時間が掛かり過ぎるので潜水艦には向かず、いずれも失敗に終わった。

AIP機関

かつてのディーゼル潜水艦は水中行動力に劣り、潜航時は殆ど動けなかった。やがて、シュノーケルや高性能な蓄電池や電動機の開発により、ある程度は改善されたが、それでも定期的な吸気と充電を必要とするディーゼル潜水艦は、基本的に可潜艦に過ぎない存在である。このため、外気を必要とせず、常時潜航状態で駆動可能な推進機関、即ちAIP(非大気依存推進)機関が必要とされてきた。
第二次大戦期のドイツでは、ヴァルター・タービンを搭載したヴァルター潜水艦、XVIIB型UボートやXXVI型Uボートが試作された。また、ソ連では閉サイクルディーゼル機関を搭載したケベック型潜水艦が建造されたが、何れも安全性に難があり、実用化には至らなかった。
しかし21世紀になってようやく、非大気依存型機関を搭載した潜水艦が実用化されるに至った。これらは燃料電池やスターリングエンジンを補助機関に使用することで、水中行動力の向上を図っている。

原子力機関

第二次大戦で急速に発達した原子力技術を駆使して誕生したのが原子力潜水艦である。吸気も燃料補給もなしに半永久的に駆動する、潜水艦には理想のボイラーたる原子炉の登場により、潜水艦の水中速力は大きく上がり、可潜時間は数ヶ月近くにまで増えた。
原子力潜水艦は有り余る出力を生かして海水を電気分解し、艦内へ常時新鮮な酸素を提供する。このため、原子力潜水艦は「世界一空気が綺麗」と言われるほど艦内は快適である。しかし、超微量の放射線漏れは絶えずあり(特に艦外)、米軍の乗員は放射線被曝線量測定バッジをつける。
常に蓄電池の残量を気にしながら、定期的な浮上を必要とする通常動力型潜水艦に比べ、「無限」の航続力を持ち氷の下の北極海すら航行可能な原子力潜水艦は、真の潜水艦といえる存在である。こうして見ると、原子力潜水艦は圧倒的に優位と思われるが、構造上解決できない欠点もある。
原子力推進は、原子炉冷却水循環ポンプや、蒸気タービンによるブレードや減速ギアの騒音が発生するので、潜行中の動力を蓄電池と電動機にてまかなう通常動力艦よりも静粛性に劣る。さらに、常時原子炉冷却が必要なので、たとえ低出力下で自然循環冷却可能であっても、通常動力艦のように一切の作動音を停止し無音状態にすることは不可能である。そのため、攻撃型潜水艦の戦闘局面に限れば、原子力艦も通常動力艦も優劣付けがたいとされる。
また、技術的水準や建造費、維持費が高く、保有できる国は限られる。日本などは技術上の問題の他、原子力に対して否定的な世論の存在により保有していない。

航法

潜水艦は浮上時には、通常の船舶と同様に天測航法や衛星測位システムが利用できるが、潜航時には使えなくなる。そのため、潜航中は慣性航法装置とソナーを利用した海底追随航法を利用する。
海底追随航法は、通常は海図と慣性航法装置で自艦の位置を把握して、時折り音波の反射を利用して位置を確認する方法である。秘匿性を求められる潜水艦は、(有事に限らず)アクティブソナーを発して海中航行する事は自殺行為であるため、『目隠しをして飛行機を操縦する』かの如く、パッシブによる「周囲の音響変化」などをたよりに手探りで航行しなければならない。そのため、一大潜水艦隊を運用している米露海軍は、独自の『海洋調査船』を複数運用する事などによって絶えず『想定戦場』となる海域の海底地図を作成しているといわれる。勿論、潜水艦部隊の通常哨戒によって地図の精度を上げるなどの努力は行われていると見られる。
ただし、慣性航法は長時間使用すると誤差が増大するので、時折は浮上して天測航法や衛星測位システムにより、より正確な自艦位置を把握する必要がある。
日本のみならず中国や韓国も独自に海底地図などを作成していると見られるが、北方領土問題だけでなく尖閣諸島や海底資源に対する外交問題、竹島領有権問題などにより、その行為は度々日本近海で問題を生じている。

通信

海中においては電波が減衰しやすいため、海中を航行する潜水艦に対しては、通常の短波・極超短波などの通信は不可能であり、水中レーザー通信も実用化されていない。通信設備としては、比較的海中を透過しやすい超長波(VLF)などを利用した通信によって地上設備などとの連絡を保っている。VLF通信では多量の情報を受信することが難しく、また潜水艦側からの発信もできないために、必要に応じて浮上し、短波・極超短波や衛星通信を行なう。潜水艦の通信手段には、次のようなものがある。

極超長波通信

極超長波(ULF)は海中深くまで到達するので、潜水艦は最大潜行深度付近で受信可能である。ただし、送信できるデータ量が非常に少ないので、大量の情報受信には向かない。また、ULFは送信するために、全長数十kmに渡る長大なアンテナ施設が必要で、有事の際にはこれらの施設の脆弱性に問題がある。陸上からの単方向通信であり、潜水艦からの送信は不可能である。

超長波通信

超長波(VLF)は海中深度10m程度まで到達するので、深度数メートル程度を潜行すれば受信可能である。実際はそこまで浅く潜ると発見される可能性が高まるが、曳航ブイまたはフローティング・アンテナを使用すれば、潜水艦本体は深深度で受信が可能となる。しかし、送信できる情報量が少ないので、大量の情報通信には向かない。
送信するには巨大な地上アンテナ施設を使うか、E-6マーキュリーなどのTACAMO機(空中通信中継機)によって空中に長いアンテナを吊るす必要がある。また陸上からの単方向通信であり、潜水艦からの送信は不可能である。

マイクロ波通信

通信衛星を利用できる国では、通信衛星との間でマイクロ波送信により送受信を行うことができる。マイクロ波は海中まで到達しないので、通信時には潜水艦のアンテナを海面上に露出させる必要があり、敵に探知される可能性が高まる。しかしマイクロ波は大量情報の送受信が可能なため圧縮通信を行なえば作業は短時間で済む。

水中音響通信

水中電話を利用することにより、潜航中の潜水艦同士や水上艦と通信を行なうことができる。また、海底の要所に音波を利用した通信中継装置を設置し、それを海底ケーブルで地上施設と結ぶ事で、潜水艦との通信を行う。冷戦時には、アメリカ及びソ連海軍が音響通信装置を多数敷設した。

兵装

対艦・対潜戦闘時の潜水艦の主力兵装は魚雷である。潜水艦用魚雷の誘導方式は以下のようなものがある。

ウェーキ・ホーミング

敵水上艦の航行時に発生する波の跡、ウェーキを感知して目標を追尾する。水上艦相手にしか使えないが、射程が長い。

パッシブホーミング

魚雷のシーカーで目標の音波を受信して追尾を行う。水上水中両方で使えて、ホーミング時に敵に感知される可能性も低いが、音源を止められると誘導が出来なくなる上、欺瞞に弱い。

アクティブ・ホーミング

魚雷のシーカーから音波を発信し、跳ね返って来た音波を受信して目標の追尾を行う。静止中の敵潜など目標の音源に関わらず誘導できるが、射程が短くなる。また高速移動中の魚雷のシーカーは視野が狭くなるので、ノイズメーカー・デコイや急速潜航等回避機動などの対抗手段を取られると目標をロストし易い。また、発射後のコース変更がきかないので発射照準が完璧でなければ当たらず、発射までに時間がかかる。そのため、長距離で使用する場合は別の方法での中間誘導を必要とする。
無誘導魚雷のように魚雷発射管から円錐状・放射状に一斉発射すると、一方の魚雷のアクテイブ探信音を、隣にある他方の魚雷が受信するので、魚雷が吸い寄せられてしまう。そのため、2-5分毎、2本ずつしか撃てない。

セミアクティブ・ホーミング

潜水艦のソナーから目標へ向け音波を発信し、跳ね返ってきた音波を魚雷のシーカーが受信して追尾を行う。潜水艦の強力なソナーを使用するので、アクティブ・ホーミングより射程は長いが、自艦の位置が敵に逆探知されてしまう。
魚雷シーカーは高速航走のために視野が狭くなるので、デコイを出されて、潜水艦に急角度で方向転換されると失探しやすいが、沈底なりホバリングしている潜水艦のソナーは速度視野狭窄に陥っては居ないし、むしろ回避機動中の標的潜の航走音を捉えているので失探・欺瞞しにくい。

有線誘導

電線によって、魚雷まで誘導信号を送る事で誘導する。魚雷のシーカーが捉えたデータを潜水艦へ送る事も出来る。射程が最も長く、中間誘導に向いている。電線が切れた場合は、自動的に魚雷のアクティブソナー・シーカーが覚醒する。だが目標に十分接近しない内に魚雷がアクティブホーミングとなった場合、前述のように目標をロストし易く、また音響誘導は欺瞞に弱い。そのため、有線魚雷で撃たれた場合、撃って来た方向へ高速魚雷を発射して、先制攻撃してきた相手を誘導線切断・回避機動に追い込むのはよく行われるという。
以上のようなものがあり、中間誘導・終末誘導などに状況に応じて使い分けられる。
セミアクティブホーミング及び有線誘導の場合、航走途中でコースや速度を変更できる。照準も回頭も済まない内に即発射して敵潜の方向に魚雷を指向して低速静音航走開始させたあと、ソナーにより敵潜への距離、深度、ベクトルなど計測してコースを発射後に修正できる。

対艦ミサイル

艦対艦ミサイルは遠距離の敵艦を攻撃できるが、発射時に自艦の位置が暴露するので殆ど使用されない。

対潜ミサイル

パッシブソナーで遠距離の敵潜水艦を捕捉した際の攻撃用に対潜ミサイルが搭載された。目標へ正確に誘導するのが難しいので、核弾頭を装備するのが普通だった。やがて、潜水艦の静粛化や時代の流れで核兵器の使用が難しくなると装備されなくなった。

対空ミサイル

航空機に対しては下手に戦うより潜航して身を隠したほうが安全なため、普通は対空攻撃用の兵装は装備していないことが多い。ただし一部にはヘリコプターなど低速の航空機に対処するために携行式の対空ミサイルを搭載した潜水艦も存在するほか、魚雷発射管から射出する形式のIDASなども開発されている。

無人潜航艇

アイデアとして魚雷発射管から射出・回収され、自律制御により海中を航行する潜水ロボットがある。海底地形の調査や機雷捜索・処理などに使用される。
古くから潜水艦にとって機雷は大きな脅威であった。海中では目視によって確認する事が出来ず、また潜水艦本体アクティブソナーでの探知では機雷を発見した時に回避できるだけの余裕があるとは限らない。潜水艦の航行に先行して機雷を捜索・除去が可能なUUVは機雷が敷設されやすい浅瀬で行動する潜水艦にとって重要な要素となった。ただ潜水艦からのUUVの運用は、海面上での長時間の回収作業を行なうか魚雷発射管への回収技術を完成させねばならず、保管と保守整備の空間確保の問題もあるため未来技術の域を出ない。現在、UUVを使用し始めているのは水上艦である掃海部隊だけである。回収と再利用をあきらめるか、掃海部隊が回収するのであれば潜水艦からの射出もありえる。
米海軍が開発を計画中の攻撃型無人潜航艇(UUCV)「MANTA」は、対潜戦闘も可能であり、潜水艦の行動時に危険が大きい浅瀬で大きな効果を発揮すると見られている。米海軍は2050年頃の実用化を計画している。

射撃管制装置

魚雷は比較的遅いため、目標への照準が不備な場合は魚雷の音響シーカーの探知範囲外に逃げられてしまう。方位だけでなく距離と深度と目標の進行方向と進行速度の評定が重要である。
射撃管制には複雑な計算を必要とし、複数のソナーを使いこなす為に射撃管制装置には高度なコンピュータ・ソフトウェアとデータベースを必要とする。射撃指揮装置のソフトウェアとデータベースは経験の長い米露両国が優れていると言われている。ロシアは自国のディーゼル潜水艦の射撃管制装置を低価格で共産諸国や冷戦後は購入するあらゆる国に輸出している。米国はディーゼル潜水艦を作っていないので西側諸国は射撃管制装置を自製や輸入をしている。

乗組員

潜水艦、特に第二次大戦時やそれ以前のものは、居住性が劣悪であった。元々軍艦の居住性は良いとは言えないが、潜水艦は特に酷かった。艦内は湿気だらけで洗濯物も乾かせず、また燃料・排気・カビなどの臭気が充満しているので、嗅覚に異常をきたす上、それらの臭いが体に染み付いてしまう。真水は貴重なので入浴は制限される。
潜水艦には冷房装置が備えられているものの、多くは動力の冷却などに使われるため、室温が25度を下ることはなかった。敵艦に接近する場合は聴音されるのを防ぐため冷房装置を停止させたので、より高温になった。また、潜行中は水圧の関係からトイレも使用できなくなった。このような環境で毎日単調な任務が延々と続くので、潜水艦勤務は非常に過酷であった。
原子力機関の登場後は、居住環境は以前よりも改善された。前述のように大出力の原子力機関は電力に余裕があり、電気分解や海水淡水化を行えるので酸素や真水の確保には困らない。大型の戦略級原潜タイフーン型では、プールやサウナまで装備されている。
しかし、一度出航したら数ヶ月間帰還出来ない原潜クルーは、家族との関係を保つのが困難である。米海軍では、潜水艦は一回の航海に付き一組は離婚する乗組員が出るという。また乗員は、一度潜航すると数ヶ月間浮上しないこともある任務のため極めて厳しい肉体的・精神的条件をクリアしなければならず、鬱病や神経症にかかる乗員も少なくないとされている。 この問題はどの国の事情も同じ様である。そもそも潜水艦の作戦行動は機密が要であり、乗組員はその家族にすら作戦の開始日・期間等を教えることができない。

食事

過酷な任務に就くため、食事は海軍の中でも最も充実していると言われており、食料不足に悩んでいた大戦末期の大日本帝国やナチスドイツでも、潜水艦には優先的に食料が配給された。ただし、狭く環境の悪い潜水艦では新鮮な食べ物は出航後数週間で消費し尽くされ、その後は似たような保存食がずっと出される事となる。
日本の潜水艦の場合、食事は主食に白米・乾麺、副食に乾燥野菜(切り干し大根など)と缶詰、漬物各種の他、比較的保存しやすい生鮮野菜としてタマネギとジャガイモ(とはいえ、これらの生鮮野菜は一週間程度で底をつく)などを材料とした各種のメニューが提供された。ドイツの潜水艦の場合、ほぼ毎食が、「主食はサラミソーセージとチーズやバター、艦内でまとめて焼かれる黒パン、付け合わせとしてザワークラウト、生鮮野菜としてのタマネギとジャガイモの煮込み、デザートでレモン(ただし日本の潜水艦と同様に、生鮮野菜や果物は一週間程度しか供されない)」であった。これらの食事では、当然の如く各種栄養素が不足する。このため、東西の潜水艦乗員はビタミン剤をはじめとするサプリメントの大量補給が必須であった。

階級と居室

戦時中のドイツや日本では、海軍の他の部隊と比べて潜水艦は上下関係が緩やかであったといわれる。日本の場合は、艦長ですら自分の下着は自分で洗濯せねばならないほどであった。(ただし、通常動力艦では真水自体貴重品であり航海中の洗濯はほぼ不可能であった)
士官が充てられるポストとしては、艦長、副長、先任将校、航海長、機関長、水雷長、通信長などがある。艦長の階級は、戦時中の日本では少佐、ドイツでは大尉が普通であった。
就寝用の空間も限られたため、士官や下士官は通路の脇に設置されたベッドで就寝したが、Uボートなど比較的小型な艦ではベッドは数人で共有していた上に、弾薬庫の中で魚雷と一緒に寝ていた下級の乗組員もいた程であった。より大型であった大日本帝国海軍の伊号潜水艦では、一応一人一台のベッドは確保されていたが、その代わりに航海期間はUボートより長かった。
現代の米国海軍原子力潜水艦では、艦長と副長のみ個室が与えられる。艦長室を使用できるのは艦長のみであり、艦長より上級の士官・提督が乗り込む場合、上官は副長室にある予備のベッドを使用する。その他の乗組員は専用のベッドを与えられるが、さらに下級の乗組員は一つのベッドを3人3交代で使用しなければならない。
一方、旧ソ連・ロシア海軍の原子力潜水艦は、大幅な自動化・省力化により乗員数を削減し、大きな乗員用スペースを確保した例もある。ただし省力化による弊害もあり、原子炉の事故などに対応出来ないなどの問題も生じた。

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